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発声原稿(当会に代々伝わる発声練習の原稿です。)
<発声原稿1>
言語の 真正より発し
言葉の 高揚において
その 頂点に達し
最後に 人格の 発露に終わる
これが 真の 雄弁であります
<発声原稿2>
そもそも 雄弁の偉大なることは
古き歴史を訪ぬれば ギリシアにおける
デモステネスのごときを 追想することができるのであります
当時 民主国家としてのギリシアを 完成せしめたものは
実に 言論の自由を基盤とする 彼らの雄弁術に 俟つものが多かったのであります
ローマ時代における 一世の英傑シーザーを
暗殺したる ブルタースが
ローマの街頭に立って 大衆に訴えたるとき
彼の大雄弁に魅せられたる聴衆は しばし歓呼の声を挙げて
彼の暗殺行為を 肯定したのであります
その瞬間 立ち上がったアントニーが
シーザーの偉業を讃えつつ ブルタースの暗殺行為を 糾弾したるとき
彼の至誠あふるる稀世の大雄弁は たちまちにして ローマ市民の考えを一変し
ついに ブルタースを倒すの挙に 出でしめたのであります
雄弁は 至誠の奔騰するときにこそ
真に その使命を 果たし得るのであります
従って 単なる口舌の雄をもってしては その使命を 果たしえないのであります
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