中央大学辞達学会 幹事長挨拶

中央大学辞達学会第126代幹事長を務めております、加藤みらのです。
本会のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
この幹事長挨拶では、辞達学会がどのような活動を行っているのか、
そしてその活動に私自身がどのような魅力を感じているのかをお伝えできればと思います。
本会に興味を持ってくださった皆さんにとって、辞達学会の雰囲気や、そこで活動する会員の姿を思い描く一助となれば幸いです。
辞達学会は、今年で創立126年を迎える、中央大学でも有数の歴史を持つ学術系サークルです。当会では、「弁論」を主軸として活動を行っています。
皆さんは、「弁論」と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょうか。
スピーチのように、自分の意見を原稿にまとめて伝えるものを想像する方もいれば、ディベートのように、与えられた立場から相手を説得するものを思い浮かべる方もいるかもしれません。
弁論とは、そのどちらの要素もあわせ持つものです。
自ら問題意識を持ち、テーマを選び、自分の主張を原稿として構成する。そして本番では、その原稿を読むだけでなく、質疑応答を通して、自分の言葉で聴衆を納得させることが求められます。
つまり弁論とは、あらかじめ練り上げた文章と、その場で交わされる生きた言葉の両方によって成り立つ営みなのです。
私が初めてその魅力に触れたのは、新歓活動の中で先輩方の弁論を聞いたときでした。
演台の上で堂々と語る姿はもちろんのこと、その一つひとつの主張が緻密な論理によって支えられていました。さらに質疑応答では、相手の質問に的確に応じ、自らの主張を深め、より説得的なものへと発展させていく。私は、そんな姿に強く惹かれ、「自分も先輩方のような弁士になりたい」と思ったことを覚えています。
また、弁論とは、単に自分の考えを述べる活動ではありません。
弁士自身の問題意識を提示し、その問題の重要性を訴え、原因を分析し、そして解決策を示して聴衆に納得してもらう活動です。そのため、演台に立つまでには膨大な準備が必要となります。
細かなデータ収集を行い、論理を積み重ね、どのような構成であれば聴衆に伝わるのかを徹底的に考え抜く。華やかな発表の裏側には、地道で粘り強い作業が存在しています。
そして、その過程において辞達学会が大切にしているのが、「集団作成」です。
集団作成とは、会員同士が議論と対話を重ねながら、一つの弁論を磨き上げていく手法です。一人では気づくことのできなかった視点に出会い、自分とは異なる価値観に触れることで、弁論はより説得力のあるものへと発展していきます。
私は、辞達学会の本質はこの集団作成にこそあると考えています。
集団作成は、単なる意見交換の場ではありません。本番で発表する原稿をより良いものにするために、会員同士が真剣に議論し、ときには意見をぶつけ合いながら、最善の形を模索していく営みです。その過程は決して簡単なものではありませんが、その難しさの中にこそ、辞達学会でしか得られない学びがあるのだと思います。
現代では、デジタル技術の発展によって、一人でも考えを整理し、発信することができるようになりました。しかし、弁論は自己完結では成立しません。異なる価値観を持つ多くの聴衆に向けて語り、その理解と納得を得ることが求められます。
自分の考えを伝えること。
他者の意見を受け止めること。
そして、数ある意見の中からより説得力のある結論を導き出すこと。
こうした経験は、他者とともに生き続ける私たちにとって、非常に貴重なものだと私は感じています。本当の納得とは、一人で考え続けることだけでは生まれません。
他者との対話によって考えが磨かれ、より深い理解へとたどり着くものだと考えます。その意味で、辞達学会は唯一無二の場所であるといえるでしょう。
また、辞達学会で得られるものは、弁論の技術だけではありません。
大会などの行事に向けて会室に集まり、夜遅くまで議論を重ねる日々。原稿作成に苦労することもありますが、その時間さえも大切な思い出になっていきます。
困難に直面したとしても、多くの会員と対話を重ねながら一つの弁論を完成させ、弁士が大会で成長した姿を見たときの感動は、何ものにも代え難いものです。
合宿や遊説も、辞達学会ならではの魅力を感じられる行事です。四季折々の場所を訪れ、美しい景色や食事を楽しみながら、会員同士で普段よりも密度の濃い時間を過ごすことができます。そうした時間の中で育まれるつながりもまた、本会の大きな財産だと感じています。
私たち大学生には、人生を彩るさまざまな選択肢があります。
だからこそ私は、少しだけ大変な道を選んでみることにも、大きな価値があると考えています。努力したからこそ得られる達成感や、人と真剣に向き合ったからこそ生まれるつながりは、きっと皆さんの大学生活を何倍にも豊かなものにしてくれるはずです。
本会の活動に少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ一度会室へ足を運んでみてください。このホームページを訪れてくださった皆さんの中の誰かが、演台の上で自らの言葉を語る日が来るかもしれません。
そのような未来を思い描きながら、皆さんとお会いできる日を心より楽しみにしております。
中央大学辞達学会
126代幹事長
加藤 みらの

_edited_edited.png)
_edited_edited.png)