20250524 第19回東京大学五月祭記念弁論大会
- 辞達学会
- 7月9日
- 読了時間: 3分
5月24日(土)に、第19回東京大学五月祭記念弁論大会が、東京大学本郷キャンパス法文1号館にて開催されました。
当会からは、福嶋陸(文3)が、演題「寂寥」のもと、薬物依存症者の社会復帰について訴えました。
結果は入賞を逃したものの、自らの思いを熱く訴えていました。
以下,弁士の感想です。
第19回東京大学五月祭記念弁論大会に、第8弁士として出場致しました福嶋陸です。
今回私は、「寂寥」の演題のもと、薬物依存症者の社会復帰における日本の現状とそれに関わる制度の方針転換、ハームリダクションについて訴えました。
本弁論の趣旨は、日本国内における薬物犯罪者の在り方、その立場についての見直しを行うべきということです。そもそも日本国内においては、薬物犯罪は厳罰化などの規制を続けているものの、犯罪件数は横ばいとなっています。そして、薬物犯罪に関わる再犯率は極めて高い数値となっているのです。厳罰化は、ある程度有効でありこの日本の取っている姿勢は、ゼロ・トレランスという姿勢であり、完全に不寛容となっています。しかし、薬物の規制や厳罰化には限界があるため、今回は政府の方針を不寛容からある程度の寛容であるハーム・リダクションの政策へと転換しようということを本弁論では目的としました。その上で、社会復帰支援の現状を知るために、現行の社会復帰支援についての制度を調べたり、実際に今、社会復帰の最前線となっている自助グループやNPO法人について調べ、インタビューの実施を行いました。これらの調査を行った上で、今回、薬物依存症からの社会復帰支援に特化した支援の実施、制度の創設を行うことを弁論中で訴えました。
結果として、入賞には届きませんでした。
決して、弁論に対する評価は低い点数ではなかったものの、審査員の皆様からの話を聞く限り、最後の納得感につながるような情報や支援方法の効果についての説得が足りていなかったと考えております。先ほど述べたように、インタビューを通して得た知識を持った状態で私は弁論に臨みました。しかし、そこで感じた支援の重要性を弁論時間の制約がある中で伝えきることができませんでした。本弁論では、日本における薬物犯罪の厳罰化の現状から、NPO法人や自助グループの存在、そしてハームリダクションという思想についてなど多岐にわたって言及する必要がありました。もちろん、原稿が不完全であったとは思っておりません。しかし、構成や表現に私の想いをより強く伝える余地があったかと大会後に発表を省みて思っている次第です。
今回の大会で約一年ぶりに弁士として演台に立つことになりましたが改めて、10分間という短い時間で、聴衆に自身の意見を伝えることの難しさを痛感しました。弁論という限られた言論空間の中で、いかに私の想いを伝えることができるのかを考え、今後も弁論部員として研鑽を積む所存です。
最後になりますが、約1ヶ月間弁論の指導をしてくださった倉形先輩、そして練弁や添削にご協力してくださった同期や後輩、先輩方、そして、第19回東京大学五月祭記念弁論大会の開催・運営に尽力してくださった皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
Comments