20250531 第6回國學院大學學長杯争奪全国学生弁論大会
- 辞達学会
- 7月9日
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5月31日(土)、第6回國學院大學學長杯争奪全国学生弁論大会が、國學院大學百周年記念館記念講堂にて開催されました。
当会からは朝倉爽介(法3)が、演題『新しい車軸』のもと、医師偏在の問題とその解決策について訴えました。
結果は見事、第三席を収めました!

以下、弁士の感想です。
この度、第六回國學院大學學長杯争奪全国学生弁論大会に出場させていただきました、3年の朝倉爽介です。私は、今回「新しい車軸」という演題のもと、医師偏在の問題とその解決策について弁論をさせていただきました。
現在、日本の医師は過去最多となっており今後も増えていく見込みです。一方、医療需要は減少に転じてゆき、医師全体の数は需要と均衡する見込みです。
しかし、医師全体の数が増えても地域ごと、診療科ごとに医師の偏りがあり他の地域・診療科で医師が不足する事態が生じています。この医師偏在の原因を一義的に求めることはできないものの、医師への調査などでは勤務強度に対して給与が少ない点、人手が不足していることでより医師が集まらない点が偏在の原因として指摘されており、給与の向上により人を動かし、人手の問題の解消も図ることが求められます。
医療機関の診療収益はその多くが保険診療によるものですが、保険診療ではどの医療機関でも報酬額が固定されている、公定価格制度が採用されています。市場原理では、需要に対し供給が少なければ価格を上げることができますが、公定価格制度では、需要供給をバランスすることができず、この収益構造が労働に対して給与が少ないという、偏在の原因の背景にあると分析しました。
そこで、PPという担当患者あたり支払いの報酬制度を日本医療に応用することを提案させていただきました。PPは本来包括支払い方式で運用されていますが、日本は出来高払い制度が中心の診療報酬制度です。そこで地域ごと、診療科ごとに患者の需要量と供給量を加味して、診療報酬の操作を行う、日本型PPの導入を提案しました。
また、日本型PP導入の課題として第一に患者負担の公平性が害されること、第二にに保険機関の負担の公平性が害されることがあり、課題を払拭する必要があります。
そこで、診療報酬の変動を保険からの支払いに限定し、患者負担は従来の公定価格を維持すること。全国の保険機関から拠出金を徴収し、日本型PP導入による負担変動に応じて拠出金を再配分することで懸念を解決する政策を提言しました。
診療報酬制度は医療の財政と提供という2つの車輪を繋ぐ、車軸に例えられます。国全体で考える必要のある偏在という問題を解決するためには、既存の診療報酬制度を改革し、新しい車軸を作る必要があります。日本の医療は、財政や提供に依然課題を抱えていますが、医療が重要でない国民は1人もいません。医療の明るい未来を一国民として願っています。
本弁論を作るきっかけは、北海道に住んでいた小さい頃に医師である父が遅くまで仕事から帰ってこなかったり、頻繁に病院から呼び出しをされていたことです。
大会では、自己の体験との結びつきや社会的意義の主張などが評価され、第3席をいただくことができました。一方、偏在問題を金銭的な側面に限定して分析している点などが評価を下げる要因となり、優勝には至りませんでした。
私は、1年生の新人弁論大会以来およそ2年ぶりの大会出場でした。弁論の改良を重ねることができたのは、原稿の添削や練弁会など作成に参加いただいた会員の皆様のおかげです。
最後に大会を運営してくださった國學院大學辯論部様。選考会で指導をしてくれた佐々木、選考会から演台を降りるまで共に戦ってくださった田部井先輩に心から感謝申し上げます。
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