2025/02/15 第14回全日本学生弁論大会
2月15日(土)、第14回全日本学生弁論大会が、明治大学生田キャンパスにて開催されました。
当会からは川上真由(商1)が、演題『螺旋』のもと、医療的ケア児のレスパイトケアの課題とその解決について訴えました。
惜しくも入賞は逃しましたが、自らの想いを熱く訴えていました。
以下、弁士の感想です。

この度、第14回全日本学生弁論大会に出場させていただきました、125代会員の川上真由です。
今回、私は「螺旋」の演題のもと、医療的ケア児を子にもつ親に対するケアサービスの普及について訴えました。
本弁論を作るに至ったきっかけは、昨年11月に兵庫県で起こった医療的ケア児に関する事件をニュースで見たことです。
事件の概要は、以下の通りです。
寝たきりで気道確保のためにたんの吸引が必要な当時8歳の娘を自宅に置き去りにし死亡させたとして、兵庫県警は23日、姫路市内の会社員の母親(32)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕し、発表した。認否について「言いたくありません」と供述しているという。
もちろん親が子供を虐待したり、放置して死なせるなんてことは絶対にあってはいけません。私はそういった事件を耳にしたとき、いつも不快感と強い憤りを覚えます。しかし、「寝たきり」という単語を聞いたとき、私はこの母親を責め、また、怒りを向けることができなくなりました。この母親がどんな生活をしていたのかということを想像してしまったからです。
そして、私はこの事件を調べていくうちに、この事件で死んでしまった子と同じような性質を持つ子供たちを医療的ケア児と呼ぶことを知りました。
医療的ケア児の重症度にももちろんグラデーションがあり、歩くことのできる子もいれば、寝たきりの子もいます。
しかし、寝たきりの場合、そして知的障害も持ち合わせている場合、誰が彼らを介護するのかというともちろん親です。そしてそれは、医療的ケア児が生きている間一生続きます。
では、親が休めるときはないのかというと、一切ないということはありません。医療的ケア児を受け入れ可能な保育園や特別支援学校は増えてきており、レスパイトケアという医療的ケア児の親の代わりに介護と医療行為を肩代わりするサービスもあります。しかし、それでも医療的ケア児の親が休めない、追い詰められているという現状があります。
ではなぜそのようなサービスが増えていかないのか。それはヒトと施設が足りないからであるという原因にたどり着きました。
そこで私は訪問型のレスパイトケアサービスを潜在看護師の方々を活用する形で拡充することを本弁論で主張しました。
結果は4位、入賞には届きませんでした。
ここからは反省となりますが、良かった点としては、今の私にできる範囲内で、ちゃんと現場のこと考えた、弁論中に出てくる人々のことを考えた弁論をできた点だと思います。卒業して、本弁論を読み返したとき、おそらくひどいものに思えるかもしれません。ですがそれでも、現段階としては、一年間弁論部で勉強してきたことが活かすことのできた弁論だったと思います。
悪かった点として、言いたいことが聴衆に届いていなかったという点があります。ある審査員の方に、聴衆は弁論全文を完璧に聞けていない。弁論と論文は違う。だからこそ、言いたいことをちゃんと聴衆に伝える工夫が大切だと言われました。工夫の仕方はたくさんありますが、私が今回、それを十分にできていなかったということは確実です。論理や当事者の生活の実態を伝えようとするあまり、聴衆に伝わるかという視点は完全に抜けていました。
弁論において、これまでも、たくさん勉強することがありました。そしてそれは、これからもだと思います。私はこの春から新入生を指導する立場になります。本当に頑張らなくてはいけません。そして、4年生になる頃には、私が教えてもらったように、後輩に大切なことを教えてあげられる人間になりたいです。
最後になりますが、弁論作成に協力してくださった同期や先輩方、第14回全日本学生弁論大会の開催・運営に尽力してくださった皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。